大阪大学大学院経済学研究科の安田洋祐先生による
”経済学で読み解く「働き方」と「イノベーション」”
という講演を聞きました。
経済成長の失われた20年の負のスパイラルの説明と、これから正のスパイラルに逆転していく絵とは、以下のようなことでした。
・他国と比べると、日本のサービスや製品は品質が良いのに低賃金である。その賃金でも人がなんとか集まるから、企業は、リスクを伴う設備投資せず、確実な安い労働力に頼ってきた。近年では、非正規職員の雇用を増やすことで、さらに賃下げしていった。その結果、イノベーションが起こりにくかった。
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・しかし、非正規職員の数も限界になり、賃上げが始まった。サービス業の時給はどんどん上がっている。企業は資本投資を進め、イノベーションを起こし始めている。やがて、AIやロボットが定型化された仕事を担い、働き方が変わる。それでも、日本の労働者は組織に留まる傾向にあるので、組織内でイノベーションを起こすためには、多様な職員を採用することや減点主義をなくすことが大切だ。
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ここから先は、私のメモ。
●今日の話は、とても論理的で、非常によく理解できた。行ってよかった。
●でも、そもそも、「イノベーション」がなぜ必要かという議論はなかった。これから人口が減り、人口構造が変わって行く中で、今までと同じ「働き方」でいいはずがない。でも、スマートフォンなくってもいいや、インターネットすらなくてもいいやくらい思っている私には、”イノベーション(技術革新)ありきの議論はしんどい。”懐古”とか”先人の教え”などが、働き方の議論でもっと出てきたら面白いだろうなあ。懐古的な考え方や先人の教えも、その当時のイノベーションの産物かもしれないけど。
●大学を出て百貨店で働き始めたとき、新しくできる店を成功させようと、連日23時頃まで働いて、自腹でタクシーで帰る(当時で3000円弱)ことはしょっちゅうだった。でも、何の苦もなかった。やりがいがあった。でも、今ではそういう働き方はブラックと言われたり、労働生産性が低いと言われたりする。なんだかなあ。
●ここまで書いて、自分の思考の一部が見えた。私は、ある言葉を考えるとき、必ずその対語を考えて全体を見ようとするようだ。(これって、概念化能力と関係ある?)
●だから、イノベーションと言われると、技術革新の対語を自然に考える。技術革新の反対は、技術衰退や技術停滞ではない。たぶん、革新せずとも技術やサービスが尊重されている状態。
新しいことって、どんどん突き詰めれば、結構単純かもしれない。
うん?技術って何だ?
●働き方の対語は、休み方か。いや、働かせ方かも。
●イノベーションには投資が必要だというのはわかる。時間、お金、労力・・・。技術だけでなく、たとえば私が私らしく仕事をするためには、自分に投資して陳腐化しないように努力する。そして、これまでにはない提案や考え方が一定の成果を上げるように行動する。でも、これまでどおりでもよい部分については、修正はするけど革新まではしない(できない)。← うーん。でも、これまでどおりでいいかどうかの評価は自分だけでするものではないなあ。
ずいぶん、メモが長くなりました。この辺で、次の会合に移動します。