神戸大学大学院経営学研究科の服部泰宏先生をゲストにお招きした研究会。
服部さんとは、金井壽宏先生の元で学んだ同門です(ので、”さん”付けで)。
ご活躍の様子は、Facebookや日経新聞やらで目にしていましたが、
直接会うのは、何年ぶりだろう。
今日の話は、「社会人の”学び”と”経営学”」。
経営学の本や勉強が、実際のビジネスパーソンにどの程度役立っているのだろうか?
という素朴だけれども、学者としての大事な問に向き合う、そんな話でした。
参加者のほとんどは、ビジネスパーソン。
服部さんのプレゼンのあと、
・HowとWhy、それぞれの問に対する学び方
・知っていることと、わかっていることの違い(知られている経営用語は何か?)
・大御所(グル)と言われる研究者が輩出されなくなってきた状況が与える影響
・なぜ、欲求階層説は未だに教え語り継がれているのか
といったようなことが、議論されました。
看護学も経営学も実践の科学です。
実践家が、実践で生まれた問に科学的に答えて実践をよくしていく・・・
でも、実践家が研究をするには限界があります。
最近では、看護学研究者も増え、多くの知が生み出されています。
しかし、その知が活用されているかといえば、現場を見ていてもほとんどない状況です。
服部先生の話を聞きながら、
日本看護科学学会の広報担当理事をしていたときに、学会HPに「看護研究の玉手箱」を作ったのを思い出しました。http://jans.umin.ac.jp/iinkai/pr/secret_box/index.html
優秀な論文を、現場の看護師に使ってもらい、患者・家族にも理解されるような平易な文章で、筆者自らが自分の論文を「トランスレーション(翻訳)」するというコーナーです。
どれくらいの人に読んでもらえているだろうか・・・
そういえば、修士論文を書くときに、金井先生のご指導のもと、考察で「実践的含意」と「理論的含意」を徹底的に考えました。
この研究は、現場にどのような貢献ができているのか、そしてこれまで蓄積された研究から一歩進んだ事は何かということです。
それは、その後論文を書くときに、常に自分に言い聞かせてきたことで染みついています。
さて、実務界でも学界でも活躍するようになった服部さん。
だからこそ、なおさら実践と理論構築の両方に対して、常に謙虚でありたい、役立ちたいという姿勢に、同席していた金井先生も含め、多くの出席者が共感し、エールを送りました。
この豊かな広がりが心地よい、神戸の暑い(熱い)夜でした。