学会の年次大会は何を残すのだろう

投稿者: | 2019年6月10日

私が、学会に出たり、運営のお手伝いを始めた25年くらい前の話です。

恩師のアンダーウッド先生(パット先生)が、
「学会は何のために参加するのか?」
と問われたので、
「発表するため」と答えました。

それに対して、「Yes, and No.」と反応され、
「学会はコミュニケーションの場だ」と言われました。

それ以降、
・発表するときには、会場からの質問を受ける前提で発表する
・フロアーからの質問があってもなくても、必ず質問を用意しているはずの座長にコメントをもらう
・ほかの人の発表は、コメントすることを前提で聞く
・名刺は配り歩く
・懇親会は必ず出る といったことを、これまでずっと実践してきました。

今回、学会の年次大会を主催する側として。
やっぱり、年次大会は、ただ研究や事例発表の場を提供するだけではなく、
ただ講演やシンポジウムなどの企画をするだけではなく、
ましてや毎年開催しないといけないからするものではないと改めて思いました。

年次大会のテーマの持つメッセージをいかに浸透させて、
       人と人をつなぐか、
       出会える場所を設営するか、
       メッセージ性の高いプレゼンターに来ていただくか、
       学会参加者自身が発言できる魅力ある企画を作るか、
そして、
       運営側と参加者が会話できるような雰囲気づくり  
が大事だとつくづく感じたのです。

北村愛子プログラム委員長は、年次大会のビジョンを早期から共有してくれて、実に多彩なプログラム企画を提案してくれました。
そして、井出由起子事務局長は、それらの企画を進めるための細かな作業をたくさんしてくれました。
テーマの趣旨をよく理解してくれた二人の力と企画委員の力が合わさって、上記のことが実現していったと、心より感謝しています。

今回、開会宣言や会長講演では、
なぜ格差社会をテーマに取り上げたのかを話し、
会期の二日間、格差社会における看護倫理のあり方を考え感じてほしいと、参加者に向けて伝えました。

そして、閉会宣言のときには、
二日間で感じたことや考えたことを、明日からの看護実践に活かすこと、
そして一人一人がなにがしかのウェーブを起こせる存在なのだから、この年次大会を機に、いろんな声を上げてほしいと伝えました。

今回の年次大会。
予定の参加者数を超え、数字上は成功です。
そして参加者からも、印象深かった、来てよかった、勉強になったとポジティブな評価をたくさんいただいています。

でも、本当の評価は、
大会テーマのメッセージが、参加者のいる現場や社会にまで届き、そこにさざ波が立つことだと思っています。
そうあれば、私は、心からこの年次大会を開催したことの意義を感じられると思うのです。

ぜひ、一人ひとりの心の中に、またあなたのいる現場や社会にどんなさざ波が立ったのかを教えてください。
お待ちしています。
ご参加いただいた方、どうもありがとうございました。

企画委員のメンバー。 この人たちなしには、会は成立しませんでした。
市民公開講座の演者、前野隆司先生と。幸せになる秘訣をお届けくださいました。
拙著「組織で生きる」を使って、2年間、管理者倫理に取り組んだ発表をしてくれた鳥取大学医学部付属病院のみなさんと
顧問を務めている京都岡本記念病院の師長たちと。ポスタープレゼンテーションの前で。

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