『ケーキの切れない非行少年たち』 宮口幸治 新潮新書 2019
昨年末、『下手くそやけど何とか生きてるねん:薬物・アルコール依存症からのリカバリー』(渡辺洋次郎著)をこのBlogでアップしました。
それを読んだ勝原私塾卒業生の遠藤さんが、今度はこの本を読まれたらいいですよと手渡してくれました。
『下手くそやけど・・・』には、当事者の視点での生きづらさや、どんな支援があったらよかったが書かれています。
他方、本書は支援する側の視点から.非行少年の生きづらさをとらえ、どのような支援をしていくべきかが書かれています
続けてこの2冊を読み、結局、両者は同じ事を訴えていると思いました。
なぜ勉強しないのか、できないのか
なぜ繰り返し同じ過ちを犯すのか
なぜ後先を顧みない行動をとってしまうのか
なぜ平気で人を傷つけてしまうのか
など、「普通」では考えられないことが起きたとき、
とった行動だけにフォーカスを当てて反省を求めても、
本人は「反省」という考え方が何を意味しているのかがわからないこともある。世界をどう見ているのか、どう感じているのかが、
「普通」と言われている人たちとは異なっているから。
だから、
認知機能の弱さ、感情統制の弱さ、不適切な自己評価などのサインを本人が出しているときに、周囲が早く気がついて、その人に合った適切な支援をしていれば、もっと生きづらさから解放されていただろうと筆者は言います。
クラスの中の5人くらいは、そういった特別な支援が必要なのに、誰からも気づかれていない可能性があるのが現状だそうです。
そして、そのまま社会に出て行く人たちも大勢いるわけです。
ある状況ではとてもうまくできるのに、別の状況ではうまくできない人とか、「常識」を「逸脱」して感情をあらわにする人とかに、私もこれまで出会ってきました。
そのとき、「なぜ、そういう行動をとるのか?」という問が必ず出てきます。
でも、その問は、私の認知から来るものです。
その人の認知の仕方が異なっていることに気がつけば、
もっと異なるアプローチができるかもしれません。
専門的なアプローチや難しいことはできません。
でも、まず、生きづらさを感じながらも生活している人が大勢いることをそのまま受け止めます。
それはできると思います。
そして、あれ?って思う人がいたときに、その人の世界を理解しようとする中で、私があなたのそばにいることで助けになることがあるなら、それはできますよというメッセージを発信する。
そんなことが、普通にできるようになりたいなと思います。