『組織で生きる ー管理と倫理のはざまでー』

投稿者: | 2017年1月2日

勝原裕美子(著)医学書院 2016年

<泪が出たと言う人もいました>

世に出すべきだ!と自らに言い聞かせ、出します!と宣言し、出してよ!と期待され・・・刊行までに13年が経った。

管理者の倫理課題に興味を持ったのは、『ライフサポート』『コード・グリーン』の2冊の翻訳と3ヶ月の米国での研修の機会だった。いずれも、2000年前後のことで、博士後期課程に在学していた時期と重なる。

今や、看護部長は経営陣の一角であるが、当時は医療機関の経営について役割と責任を引き受けることが日本では一般的ではなかった。利益重視・コスト削減の嵐が吹き荒れる米国の医療機関において看護管理者は何を守り、何を使命として存在するのか。そんなことが問われる中、日本でも必ず経営に携わる管理者の倫理的苦悩が顕在化すると感じていた。

そんな問題意識から、数十人の看護部長に「一番苦しかった倫理課題」を語ってもらい、博士論文に仕上げた。そしてその後、数々の研修の場で出会った管理者や事例から学んだことをインプットして再統合したのが本書だ。

13年の間に、自分が医療機関の看護部のトップマネジャーを9年間も務めることになったのは、何かのご縁だったのであろう。本書『組織で生きる』が刊行された時には、私自身は組織を離れているというのも、これまた不思議なことだと思う。

本書を手にとってくださった方から、ぼちぼち感想が寄せられるようになった。

中には、「4回目を読んでいます」というものもあれば、「泪が出てきた」という声もある。

出すまでは、この本売れるのかなあと心配だったが、そんな声を聞くと、こういう本を待ってくれていた人がいるんだなと、やっぱり世に出してよかったと思っている。

 

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