ノーマン・カズンズ著(松田銑訳)岩波書店 2011年
タイトルを見て購入した。
病気の治癒にはユーモアが大切といった話かと思っていたが、そればかりではなかった。
実際、著者は 難病とされる病を 克服するために、意図的にストレスのない状態を作り出すこと、つまり笑うことを採り入れた。だが、それだけでなく、エビデンスに基づいて不要だと思われる薬は、たとえ処方されたものでも服用せず、よいはずのもの(ビタミンC)を採用。分量を調整しながら服用した。
自分の身体を使って実験をしたことになる。(1964年の話)
そして、もう一つ大事なこととして、著者は、
主治医が、「医師の最大の任務とは患者への生への意欲を最大限まで励まし力づけ、病気に対する心身両面の自然の抵抗力を総動員させることだという認識を持つ人であった」(p.23-24)ことも、信じられないほどの幸運だったと述べている。
この本は、現代の医療をただ否定する無謀な患者の話なのではない。
人の自然治癒力に大いなる可能性があることを証明した話であり、
「発達」したとされる科学に警鐘を鳴らしつつ、
有用なエビデンスの大切さを教えてくれる話でもある。
精神と肉体は一つ。
ホリスティックな生物としての人間として、主体的に生きることを学ばせてもらった本だ。