昨夕は、勝原私塾の読書会。
取り上げたのは、私塾の中の読書クラブで、
複数人が読んでその感想をそれぞれFacebookに挙げていた
帚木蓬生さんの「ネガティブ・ケイパビリティ」です。
ネガティブ・ケイパビリティとは、
本の副題を借りれば「答えの出ない事態に耐える力」。
何かの事象に対して、
原因を探して問題解決を図っていくポジティブ・ケイパビリティの対語です。
読書会では、
〇なぜ、ネガティブ・ケイパビリティという言葉が響いたのか
〇看護の仕事は答えのないことが多い。そのことを知っている私たちなのに、なぜ問題解決をしたくなるのか
〇ネガティブ・ケイパビリティを身に着けると、どんな世界が待っていると思うか
〇ネガティブ・ケイパビリティを大和言葉で表現すると何
〇あなたにとってのネガティブ・ケイパビリティとは何か
といった問を用意して、
あとは自由に塾生たちに語ってもらいました。
20人くらい集まったでしょうか。
既読の人も未読の人も、それぞれがネガティブ・ケイパビリティを考えました。
私は、この本を読んで最初に思ったのが、
W.ブリッジズの「トランジション」概念におけるニュートラルゾーン。
そこをうまく過ごすには、この力が必要だなということでした。
先の見えない自分の人生、
何かに終わりを告げた後、次に何が始まるのかわからない間のニュートラルゾーンは、楽しみや期待ばかりではなく、不安、自信喪失、焦りなどが生じます。
それでもそこをじっくり味わうことで先が見えてくる。
まさに、ネガティブ・ケイパビリティです。
塾生は、
折り合いをつける力、やり過ごす力、待つ力、宙ぶらりん力など、
それぞれのネガティブ・ケイパビリティを表現してくれました。
そして、
実は、この力を訪問看護で当たり前につかっている
看護の場面では使えているる力なのに、マネジメントでは使えていない
などに気づきました。
最後には、
解決できない、訳の分からないことの前に立ち続ける。
待った結果、見える景色がガラリと変わる経験もなかなか良いものだ。
無になって周囲を見ることの大切さに気付いた
などの感想が寄せられました。
一冊の本。
読み方、学び方、感じ方はそれぞれ。
それを表現することで、また新たな力が生まれます。
読書会、そんな楽しい場でした。