今年の第22回日本看護管理学会年次大会(松浦正子大会長)のテーマは「多様性をいかし新時代をひらく」。
集団は、個人の集まり。
それぞれの人の個性や特性が多様であれば、議論は創造的な方に向かい、集団としての対処能力は豊かになってイノベーションが生まれやすい。他方で、価値観が異なる人の集まりはネガティブなコンフリクトも招きやすい。その結果、進捗に支障をきたしたり、力を発揮することをやめる人が現れたりもする。
さあ、この両面をどうマネジメントしていくのか。
私が座長を務めた教育講演の演者、早稲田大学大学院の谷口真美教授は、ダイバーシティ研究の第一人者。さすが、管理者たちへの示唆は明確だった。
特に、ネガティブなコンフリクトに対しては、それを事前に予知し、できるだけ起きないような差配をしておくこと。それでも避けられない時には、そのコンフリクトが起きる軸とは異なる軸、つまり互いが歩み寄れる軸をみつけるということだ。
これは、なかなかおもしろい視点だ。
コンフリクトが生じると、それを解決することばかりに目を向けがちだ。しかし、異なる軸をみつけて両者が共有できる価値観を設定すれば、たしかにコンフリクトが生じる状況は、両者の関係性の一部分にすぎなくなる。
谷口真美先生は、神戸大学経営学研究科の同窓。
年齢は異なるが、大学院生としてだぶっていた期間があったため、控え室では、互いが互いを先輩だと思っていて、あれっええ?どっちがどっち?ってことになった。
谷口さんが、私をどのように評されているのかは知らないが、私にとっての彼女は、すばらしい業績を残し続けている尊敬すべき研究者だ。
講演後、すれ違う人たちに、大会テーマに合ったわかりやすく良い講演だったとほめていただいた。嬉しかったので、すぐに、谷口さんにメールで伝えたら、熱心な聴衆だったので講演を楽しめましたという返信があった。なお嬉しい。