『キリン解剖記』

投稿者: | 2020年3月18日

『キリン解剖記』郡司芽久、ナツメ社、2019

無類のキリン好きだと称してきたけれども、
私よりはるかにキリンを愛している人がいた。
キリン好きを職業に出来る幸せが、にじみ出ている。

この本を読んで、キリンが献体されるということ(他の動物もだけど)、解剖学的なこと、それにまつわる人びとの動きなどがよくわかった。
それは、筆者が、少しでもキリンのことを多くの人に知ってもらいたいと願い、
エッセイのようなパートと、研究論文の解説のパートなどをうまく使い分けて平易に表現してくれているからだと思う。

一ページに何度も「キリン」という言葉が出てくるだけで、私は興奮しながら一気読み。

筆者の手で解剖されたキリンの中には、
私が通っていた王子動物園や浜松市動物園のキリンたちもいるから、
ああ、どこかで骨格が残っているんだなと思うと、ほんと嬉しい。

そして、博士論文を執筆するまでに、リサーチクエッションを立てるのに苦労したことや、ここ一番の時に、向こうからデータ(献体)がやってくる神がかりなことも、私自身が執筆していた当時のことを彷彿させるものがあった。
かつて研究者と呼ばれていたときの研究の醍醐味がよみがえった。

最後の、「3つの無」の話もいい。
無目的、無制限、無計画。
ただただ、解剖するのは、なんの役に立つのかの答えは、ずっと先、100年後くらいにしかわからないから。ひたすら実直に向き合う。
やりたいからやるでいいじゃないと、子どもの頃に思っていたことそのままだ。

いろんな意味で、出会えて嬉しい本だなあ。



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